学校長 野々井 康治 からのメッセージ
戦後復興期から右肩上がりで続いてきた高度経済成長は、1990年代のいわゆるバブル期をピークとして大きな転換期を迎え、現在の低迷期「混沌」の時代に入ったままであります。
その結果、物質的豊かさを追い求めてきた反省から、こころの豊かさを求める時代に入ったようです。その象徴的な言葉が「癒し」であろうかと思います。
医学の世界にも、西洋医学の分析中心主義から転換し、人の体を精神的、総合的にみて治療する手法を取り入れようとする考え方が増えてまいりました。
近年、アジア各国は言うに及ばず、欧米諸国の大学でも東洋医学科を新設し、鍼灸治療臨床、医学生への鍼灸学、講義などが行なわれています。
親友である諸外国の東洋医学科教授たちの話によると、フランス、ニース国立大学付属病院東洋医学科にはリウマチ等西洋医学では治らない自己免疫疾患等の患者が、また韓国東義大学付属病院へは韓医学(鍼灸、漢方を中心にした東洋医学)部門への脳障害、神経麻痺等の患者が西洋医学のみの病院に比べ、圧倒的に数多く来院されています。
また、WHOは鍼灸研究センターを世界各地に設け、教育、鍼治療の実技指導などを行ない、特に発展途上国をターゲットにして鍼灸師を派遣する計画を実施しているといいます。
現在は、医師中心の医療から、患者中心の医療への転換期であります。
そうした中で、病める人を中心に、医は仁術なりの精神を掲げ、約3000年もの永きに亘り実践医学として活躍してきた鍼灸医療が世界的に注目を集め、21世紀の医療体系の中でも重要な位置を占めるようになると思われます。
しかし、現在のままでは鍼灸医療も時代の流れに呑み込まれてしまい、その真価を十分に発揮することが難しい状況に追い込まれてしまうでしょう。
高齢化社会を迎え、医療と福祉にかかるその経費が上昇する日本においてもこれを補う医療の一つとして鍼灸医学が見直されるべきであり、この社会のニーズに応えるためにも優秀な鍼灸師を育成する私たち教育者は大きな責務を負っていると強く感じざるを得ません。
本学は21世紀の始まりの記念すべき年に開学致しましたが、私達は常に医の原点を忘れることなく温故知新(古きをたずねて新しきを知る)を胸に本校の教育を進めていき、加えて、21世紀の現代人の疲れを癒して活力を与え、病に苦しむ人々の回復への希望を与えられる鍼灸医療人の育成を目指す場所にしたいと願っております。
鍼灸師を志している皆さん!私達と共に鍼灸医学確立に向かって共に研鑚しましょう!









